毒舌に惑わされて
ありったけの力をなんとか振り絞るようにして、じたばた動く。


「ったく、下ろしてやるから、動くな…」


ドサッ!


「うわっ!」


狭い部屋だから、ベッドまですぐだった。だからと言って…

「何で投げるのよ」


「重いから早く離したかった」


「失礼な!」


確かに痩せてはいないけど、そんなに太ってはないはず。

最近ちょっとお腹周りのお肉が気になってはいるけどね。やっぱり腹筋が必要かな。


「おい、何してる?」


「何って、腹筋よ」


「は?それのどこが?」


力の入らない体での腹筋は無理だった。酔っている時にすることではないかも。

とりあえず、今は寝よう。でも、そこにいる聖也が気になる。


「聖也、帰ってくれない?送ってくれて、ありがと」


「莉乃、このまま寝るつもり?」


「うん」


「風呂に入らないの?化粧落とさないの?」


「んー、だってね、動けないよ。眠いしね」


バスルームまで動く気力なんてないもの。このまま寝てしまいたい。


「化粧落として、着替えるくらいしろよ。若くないんだから、肌ボロボロになるぞ」


「うっ…」
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