毒舌に惑わされて
ペロッ


「キャッ!何?」


「なんだ起きてたのかよ。面倒だな…」


「今、何したの?」


「ん? 分からなかった?じゃあ、もう一回…」


「ちょっ、ストップ!わ、分かったから、やらないで」


ちゃんと首を舐められたことくらい分かっています。恥ずかしいから、聞いただけなのに…。

胸を触るだけでなくうなじを舐めるなんて、どういうつもりなの?


「あー、よく寝た。ちょっとどいて」


聖也はベッドから降りて、服を着る。


「じゃあ、帰るから。またな」


「ヘ?」


こんな朝早くから帰るなんて思いもしなかったから、びっくりする。まだ7時になったところだし。


「ああ、そうだ。寝顔、かわいかったし、胸の触り心地良かったよ。じゃ」


「な、何よ」


私の体温は上昇した。朝っぱらからなんて恥ずかしいことをして、恥ずかしいことを言うのよ。

でも、片手を上げて、去っていく姿は見とれてしまうくらいかっこよかった……。
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