毒舌に惑わされて
よし!準備OK!

あと10分で着くと大倉くんからメールが届いた。こういう気遣いの出来る男は好感度が高くなる。

聖也みたいに勝手に30分も早くきて、文句をいう男は論外だ。

マンションの入り口に降りるとちょうど大倉くんが到着した。


「おじゃましまーす」


開けてくれた助手席に乗り込むと、大倉くんが犬みたいに鼻を動かす。


「いい香りがする」


「さっき、シャワー浴びたからかな?」


香水は振りかけなかったから、シャンプーかボディソープの香りだろう。


「朝からシャワー? ヤバいな。想像しちゃう」


「何を?」


「莉乃ちゃんのシャワーを浴びている姿」


「もう、やだー。恥ずかしいじゃないのよー」


恥ずかしがる年頃でもないが、恥じらいは捨てないようにといつも心掛けている。

昨夜は恥ずかしい姿をさらけ出していたかもしれないけど。過ぎたことは忘れることにするのだ。


「莉乃ちゃん、かわいいね。やっぱり年上に見えないな」
< 68 / 172 >

この作品をシェア

pagetop