毒舌に惑わされて
年上に見えないと言われて、喜びたいけど素直に喜べない複雑な気持ちになる。


「あたし、子どもっぽいかな? 落ち着きがない?」


「違うよ。かわいいっていう意味。思わず守りたくなるような可愛さっていうのかなーって、俺、なに言ってるんだか!あー、恥ずかしい!」


少し頬を赤くする姿に胸がキュンとなる。


「アハハッ、大倉くんもかわいい」


「えー、一応大人の男なんだけどー。かわいいと言われるのはちょっとイヤだな」


拗ねた顔をする。そんな顔もかわいいけど、それは内緒にしておく。


「莉乃ちゃん、どこか行きたいとこある?」


「んー、特にないな。大倉くんに任せるよ」


大倉くんには任せておけば大丈夫という安心感がある。

まず辿り着いた場所は映画館。大倉くんがチケットと飲み物を購入してくれた。

館内は半分ほど埋まっていた。大人向けの内容らしく小さい子供はまずいない。高校生もいない感じだ。そして、カップルが多い。

そういえば、この映画はどんな内容なんだろう?
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