毒舌に惑わされて
「そうよー。本当に単純。好きな女が出来れば、すぐ告白するし。でもねー、相手の気持ちを考えないから振られることも少なくないのよねー。好きになったから、すぐ付き合おうなんて、単純に考えるから失敗するのよ」


「それは、単純というか…素直というか…バカというか…」


「そうなのよ!小さい頃は素直でかわいかったのよー。好きなものは好きとはっきり言っていて、気持ちが真っ直ぐな子だと思っていたのだけど、大きくなるとそれが災いする事もあるのよねー」


きっと葉月は単純で素直な弟をかわいがっていたに違いない。もちろん大人になった今もだ。


「そんな弟だから、いろいろ心配なんだけど、もういい年した大人だから、あたしなりに見守っているつもり」


姉らしい言葉で締めくくった。


「見守るって、葉月らしいね。そういえば、前に聖也がおせっかいな姉とか言ってたわよ?」


「そんな生意気なこと言ってたの?まあ、つい口出ししてしまうこともあるけどね」


葉月と聖也は仲の良い姉弟だと思う。私は自分が一人っ子だから、羨ましいと思った。
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