- ki nu gi nu -
AM6:12
二度めにわたしの意識が覚醒するときは
大抵私の隣のシーツは温度を失っている
その主を探して視線を移動させると必ず
カーテンの開かれた窓の外へと辿り着く
少し皺の寄ったシャツを羽織った背中は
登りゆく太陽に向かって有毒な煙を吐く
部屋まで漂う薫りは私の嫌いなキャメル
見境ない彼はまた銘柄を変えたのだろう
短くなったそれを携帯灰皿に押し付ける
その節くれだったひと差し指を見届けて
愛しい背中が完全に振り向くのを待たず
微かに匂いののこるシーツに顔をうずめ
真っ白によごれた現実から目を瞑るのだ