時猫



暫く歩き続け、鴨川に着いた。

ゆっくりた草原に座り、少し息をつく。

上を向けばやっぱり、明るく星が輝いていた。


「──椿さん!」

「…!」


人が来る気配がする。

その声の主は、聞いただけで分かった。

振り向くと沖田が駆け寄ってくる。

息を切らした沖田は、ゆっくりと椿の隣に座った。


「ごめんなさい、椿さん。何か嫌な思いをさせてしまったみたいで…」


ううん、と椿は首を横に振る。

もう、気にしていなかった。


「私も…。怒鳴ったりして、ごめん」

「全然。大丈夫ですよ」


沖田は微笑みながら、夜空を見上げた。






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