時猫
「椿さーん」
「待ってってば!」
椿は急いで、出掛ける支度を始める。
「早くしないと雪溶けちゃいますよ?」
「そんな早くに溶けるわけないでしょ⁉」
相変わらずの、沖田と椿の言い合い。
それはもう日常茶飯事になっていた。
「早く雪だるま作りましょー」
「だから!待って!」
「後は雪合戦やって、かまくら作って、雪うさぎもたくさん作って…」
「そんな作るわけないでしょ!」
「後は…」
「ちょっと黙りなさい!」
やっと沖田は黙り、部屋の縁側に座って、積もった雪を見つめた。
椿はちらっとその後ろ姿を確認する。