時猫
「ねえ。雪だるま、毎年作ってるの?」
「はい。いつもは土方さんを無理矢理連れて…」
にこやかに話す沖田だが、真剣な顔で雪だるまや雪うさぎを作っている土方を想像したら、何だか笑えてくる。
「土方さん、よく嫌だって言わなかったわね」
「いえ、言ったんですよ。でも最後には、”うるせぇ。仕方ねえから行ってやる“って」
…確かに。
椿も、沖田に駄々をこねられた。
断っても断っても、最終的には行かざるをえなくなる。
でも、沖田と一緒だから、まぁいいかな…なんていう気持ちもあった。
サクサクと、雪の上を歩いて行く。
草履が湿って足が冷えてきた。
手も顔も、寒さで赤くなっていく。
雪景色の中、まだちらほらと雪が舞っていた。