時猫




「じゃあここで作りましょうか」

「そうね」


やがて雪がたくさん積もっている所に到着する。


「いっぱい作りますよー」


沖田ははりきりながら、その場に座り込んだ。

椿もその隣にしゃがんで、ひんやりと冷たい雪を手に取り丸めていく。


「雪だるまなんて、本当に久し振りだよ」

「私は毎年恒例です」

「もー。何回言うのそれ」


呆れながら、それでも微笑みながら言う椿を見て、沖田も笑みをこぼした。

しかし沖田は、何だか視線を感じ、そっと後ろを振り返った。


「椿さん」

「ん?」

「あれ、見て下さい」


疑問符を頭に浮かべながら、椿は沖田の視線をたどる。




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