時猫




ニャー…




白い雪の中──。

一匹の白猫が、佇んでいた。

綺麗で真っ白な、つやつやの毛。

長いしっぽ、そして首には小さな鈴が2つと、大きな鈴が1つ。

さらに…

目が大きく、金色であるのが特徴だった。


「可愛い…。迷い猫かな?」

「さあ…」


首をかしげながら、視線を元に戻す。

椿と沖田は雪だるまを作り続けていたが、その白猫は、まだそこにいたままだった。

白猫の視線は、何故か椿に向かっている。

そんな事をもちろん気にもせず、椿たちは雪だるまを作り続けた。





……チリン…





暫くして、猫は鈴の音だけを残し……最初からそこにいなかったかのように、スッと消えた。




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