時猫
「もう疲れたわ…」
「はい…」
作りすぎた雪だるまやら雪うさぎを見て、二人は息をつく。
かわいらしく、それらは並んでいた。
「あ、そうだ」
椿はハッと思い立ち、懐からケータイを取り出す。
「そ、それ…。話す箱ですよね?」
かなり前の出来事を思い出し、沖田は怪訝そうにケータイを見つめた。
「これは、遠く離れている人とも会話が出来るの。ほら、こんな事だって…」
その瞬間、カシャッと音が響く。
沖田はびっくりして目を見開いた。
「い、今何をしたんですか?」
「写真を撮ったのよ」
「写真…って、そんな小さいので⁉」
沖田は恐る恐る除き込む。
確かにそこには、自分たちが作った雪だるま達が映っていた。
まだ驚いたままの表情のまま、沖田はケータイを見つめていた。