時猫





「もう疲れたわ…」

「はい…」


作りすぎた雪だるまやら雪うさぎを見て、二人は息をつく。

かわいらしく、それらは並んでいた。

 
「あ、そうだ」
 

椿はハッと思い立ち、懐からケータイを取り出す。


「そ、それ…。話す箱ですよね?」


かなり前の出来事を思い出し、沖田は怪訝そうにケータイを見つめた。


「これは、遠く離れている人とも会話が出来るの。ほら、こんな事だって…」


その瞬間、カシャッと音が響く。

沖田はびっくりして目を見開いた。


「い、今何をしたんですか?」

「写真を撮ったのよ」

「写真…って、そんな小さいので⁉」


沖田は恐る恐る除き込む。

確かにそこには、自分たちが作った雪だるま達が映っていた。

まだ驚いたままの表情のまま、沖田はケータイを見つめていた。




< 110 / 214 >

この作品をシェア

pagetop