時猫




今はちょうど、稽古をやっていない時なのだろうか。

静かな空間の中、既に伊吹が待っている。

そんな伊吹に椿は近付いた。

土方は端の方に行く。


「あなたが、伊吹さんね?」

「はい。そうです。あなたは?」

「如月椿。竹刀?木刀?」

「あ、竹刀でお願いします」


椿は、竹刀を二本持つと、そのうちの一本を伊吹に投げ渡す。


「防具はいらないでしょ?」

「はい」


その返事を聞くと、椿は竹刀を構えて伊吹を見据えた。


「いつでも来て」


伊吹も同じ姿勢になる。



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