時猫
「夢じゃないよね…」
チリン…
チリン……
いつか聞いた事のある、鈴の音が後ろから聞こえてくる。
椿は、ゆっくりと振り返った。
この真っ白な空間の中に…
「猫…?」
そう。
前に出会った、真っ白な猫が綺麗に佇んでいた。
小さな鈴と大きな鈴を揺らし、雅に近づいてくる。
「どうしたの?」
取り敢えず、椿もその猫に歩み寄る。
猫は凛とした目を椿に向け、
「…真実を、知りたいですか?」
「……へっ?」
椿は思わず、素っ頓狂な声を出す。