時猫
お前と、お前の親の敵を取れなかった。
情けない。
逆に俺が斬られた。
…その時。
……チリン…
何やら鈴の音が聞こえ、俺は振り返った。
…いつからか、大小の鈴を付けた真っ白な猫が、俺の後ろにいたのだ。
「…ここは、生と死の狭間」
……。
は……?
俺は周りを見渡した。
しかしここにいるのは、俺とこの猫だけ…
「あなたはまだ、死んでいない」
猫が、喋った。
驚きで声も出なかった。
息をのみ、俺は猫に声をかける。
「どういう事だ。俺は斬られた」
「──復讐してないのに、死ねますか?」