時猫




カラっと襖が開かれ、乱暴に体を押される。


「ちょ、ちょっと…」


部屋に入れられるとまた襖が閉まり、斎藤がどこかに寄りかかる気配がした。


(暇…)


ケータイを、懐から取り出す。

見るとメールが一件届いていた。


(翔太からだ)


『お嬢様へ

電話だと危ない気がするので、今度からメールで送る事にします。お嬢様を外に出すのは一日の約束でしたので、こっちの時間で一日経つ前に、戻れる方法を必ず見つけます。それまで、どうかご無事で待っていて下さい。

南風翔太』


『翔太へ

分かった。とりあえず、新選組に軟禁される事になったわ。ご飯も用意してくれるらしいから、そこは何とかなるはずよ。だから、安心してちょうだい。

椿』


カチカチとボタンを押してから、ふう…と息をついた。

そんな事をしていると、外から声がしてくる。




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