時猫
「…というわけです。軟禁期間は短かったですが…。これで解けます」
「そう…。良かったわ」
そう言ってほっとする椿だったが、目の前の男は見た事がない。
「あの、あなたは?」
「紹介が遅れました。監察方の、山崎烝と申します」
「山崎さん…ね」
「はい。副長がお呼びなので、ついてきて下さい」
「分かった」
ぱっと素早く動く山崎の背中を追い掛ける。
(斎藤さんと同じく…無口ね)
椿は、そう感じた。
話し方や態度は丁寧。
しかし、何を考えてるのかは分からない。
それが、この山崎烝なのだと思った。