時猫




「如月。防具はつけるか?」

「やるなんて一言も言ってないでしょ!」

「もうやると決まったんだ。防具はつけるか、つけないか。どっちだ?」

きつく睨まれ、もう抵抗しても無駄だと思った。

「はぁ…。しょうがないわね、防具はいらない」

「………随分と余裕だな」

「何ですって…⁉」


椿が防具をつけない理由は、相手が男だから。

つまり、力では適わないだろうから、せめて身軽さだけでも…という椿の考えだ。


「もー始めますよー?」


沖田の声を聞いた椿と土方は、竹刀を持って向き合う。


「両者構えて…。──始めっ」



──パアンッ!



「な…っ」

土方は呆然と固まる。




< 52 / 214 >

この作品をシェア

pagetop