時猫




まさか、女に負けるとは思わなかったからだ。

「面あり!しょ、勝者、如月椿!」

沖田の声が響き、二人は頭を下げ、後ろに下がった。

ふう…と、椿は息をつく。

とにかく早く終わらせたかったのだ。

だから間合いも取らず、いきなり打ち込んでやった。


「…もういいでしょ?はい、試合はおしまい」

「おい。待て如月」

「は?私の勝ちよ、他に何の用?」

「総司ともやれ」


沖田は、待ってましたと言わんばかりに、勢いよく立ち上がる。


(そういえば、約束してたんだった…)


今度は、椿と沖田が向かい合った。




< 53 / 214 >

この作品をシェア

pagetop