時猫
「…っ」
立ち上がろうとしても、力が入らない。
仕方なく、土の上で手を握りしめた。
…悔しくて、また涙が出た。
こんな気持ちとは裏腹に、空に輝く星は、きっと綺麗なのであろう。
そんな時…。
一つ、人影が椿の前に現れる。
「おうい…。おまん、大丈夫かえ?」
「…!」
パッと顔を上げると、知らない男の人が心配そうに椿の前に立っていた。
しかし男は、椿の顔を見るなり、驚いた顔をする。
「……泣いてるんか?」
「あ…。貴方には、関係ない…」
こう、親切にしてくれた人に対しても、そっけない態度を取ってしまう自分にムカつき、椿は唇を噛む。
男はゆっくりと、椿の隣にしゃがみこんだ。