花言葉が紡ぐ恋~大人の恋愛編~
彼と知り合ったのは昨日行われた剣道の大会に、大学生の弟が同じ大学に通う仲間で作ったチームで出場するから、気紛れで見に行ったからだった。
個人の部で準優勝だった彼、三島 春灯(みしま はるひ)は大会後、チームの皆にもみくちゃにされながら笑っていた。
「暁羅(あきら)、私先に帰るからね」
「分かった~。あ、姉ちゃん、俺夕飯要らないって母さんに言っといて」
「はいはい」
2階の観客席から下りて、出入口前のホールで騒いでいる集団の中にいる弟に声をかけ、頼まれた事におざなりに返事をかえした。
お母さんまだ夕飯作ってなきゃいいけど。
夕陽に赤く染まる空を見ながら外に出た途端に腕を掴まれて足が止まった。
腕を掴む手を辿れば、切れ長の鋭い目にスッと通った鼻、薄目で形のいい唇、剣道で鍛えられてるのか逞しい身体をした三島さんがじっと私を見ていた。