もしも、Ver.1
すぐにでもそっちに行きたくなんだろが。
いや、あほか。
俺、なんかキモいわ。
「や、・・・ゆずアイス食うか?」
「へっ?」
いや何言ってんだ俺!
「いや、なんかウチにゆずアイスすげぇあるからさ。」
いや嘘じゃない。
これは嘘じゃない。
確かにゆずアイスはある。
けどそれは俺が買ってきたんじゃねえか!
“なんか”じゃねぇつーの!
・・・あー、くそ。
上手く話せねぇ。
なんでこんな挙動不審になんだよ。
あまりのかっこ悪さに落ち込んでたところへ、さらに刺された。
「嬉しい、けどごめん。
今は大丈夫。」
ぐはっ。
だ、だよなー。
あー、やべぇ。今完全にHPなくなったわ。
今日もう頑張れねぇ。
「・・・風邪移っちゃうとやだから。」
え。
掠れた声で、聞き取れない程の小さな声を、はっきり聞き取った。
なんだよ、それ。
俺に移るのを心配して言ってんの?
うあーーーーー。
もう知らね。
どうにでもなれ。
「奈々美」
「うん?」
「次来たら覚悟しとけよ。」
END