恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

諦めない

「僕はひなさんを…
ひなを諦めません。絶対に、絶対に諦めません」

彼はうつむいて震えていたが、断固とした口調で私に宣言した。

どうして小鳥は扉の開いた籠から出ようとはしないのか?
あとは地獄の苦しみしか待っていないはずだろうに…

彼には重すぎる。真面目が故に自分を責め続ける。
それがいつしか心と身体のバランスを崩すことにもなりかねない。

私はそんなことは望んでいない。こんな縁があるというだけで
誰が彼を地獄で引きずり回すことが赦されるのだろうか?

どうやって突き放せば私を憎んで去ってくれるのだろうか?

私は冷静に一言で彼を斬った。

「たぶん無理だと思う。今まででも不利な条件だったのに、
私は今、おそらく妊娠までしてるんだから」

しかし、彼は首を決して縦にはふらなかった。本当に頑なだった。

「時間をかけて説得すれば両親はちゃんとあなたの素晴らしさを
わかってくれるはずです。

僕は僕を育ててくれた両親も、ひなさんもどちらもなくしたくありません。
どちらも大切で、どちらも必要なんです」


そう言いながら顔を上げ、強い目で私を見つめる真摯な彼は、とても素敵だった。





もっと早く…出会いたかった。それが私の本音だった。
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