恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
昨夜のできごとをリアルに思い出すと…
また身体に震えが戻ってきた。

細くなった姿に鋭い目。
以前のようなふざけた雰囲気の中に見え隠れする優しさはかけらもなかった。

底なしの黒い闇のような瞳。その闇に引きずられそうで…
あの人が怖かった。

あのまま連れて行かれたらどうなったのだろうか…

今度さらわれたら何をされるかわからないかもしれない…


でも、でも私はあの人に伝えなければならないことがある。

それを避けて通ることは…
無理だろう。

お腹に手を当て

「たぶんあなたの…」



そう、彼の子ではなく、たぶんあなたのなの。

これがもっと前だったら、私はどうしたのだろうか?
私達はどうなっていたのだろう?

それは今考えても、もうわからない事。


だってもうあの人は、以前の私の知っているあの人ではない。

私も、あの人に会って別れた時の私では、なくなってしまった。

あの時に別れたら、全てが終わりのはずだった。
もう二人の道が交わることは二度とないはずだった。

それなのに…

それなのにどうしてこんなことに…









どうなるの?

どうしたいの?

どうすべきなの?

朝から気分は憂鬱で最悪だった。
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