恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

実は

私の感情はとりあえず置き去りにされて、彼に病院に連れて行かれる。

「ひなさん、産科もある総合病院でいいですか?」

私はだまってただうなずく。車中はしばらく静かだった。



この雰囲気の中、居心地は悪かったのだが…

「実はね…」

とても言いにくかったが、病院でわかるよりはましだと思い話を切り出した。

「実は今朝から、不正出血みたいなのと、下腹部痛があったの」

彼は、私の言葉を聞くと、突然車を側道へ入れ、道のわきでブレーキをかけた。

そして、一瞬だけ私の方を見たが視線をそらして

「ひなさん。何で、あなたは…
あなたってひとは…」

彼は運転席で俯いて両手を握りしめ震えていた。

確かに黙っていたのは悪かったけど…

そう思い、助手席でうつむき小さくなる。


突然運転席でガチャガチャという音がして、ベルトを外したの?と思っていると
彼が助手席の私を突然がばっと抱きしめた。

あまりの強さに、身体が痛くてこわばった。

「みずき君、痛いよ。痛いから離し…「嫌です。いい加減にしてください!!!!」」

彼の声は上ずっていた。

「みずき君?」

「ああ~。もう、本当にいい加減にしてください!!」

取り乱す彼。私は彼が何を言いたいのかわからなかった。
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