恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
彼は課長に頭を下げる。
その様子を厳しい瞳で見守っていた課長が、私の方に向いたとき、
その目はなぜか穏やかだった。

「さて…
相良君、君はどう思ってるんだ?もう一人の当事者の君の意見も聞きたいのだが…」

「はい。妊娠していることは病院でも確認してきたので事実です。

その他の事については…」

私の気持ちも現実も濁すしかないそんな状態に何か言えるだろうか?

「ひなさん…」

彼が私のはっきりしない答えに、少し寂しそうな顔をした。

お互いの距離は…
遠い。私達にはまだまだ乗り越えなければいけない
多くの障害がある。

そもそも、彼と乗り越えるかどうかすら…
わからないのが現状なのだから…

私達の様子を静かに見ていた課長が

「まだ二人はまだ話し合いが必要な感じだな。
ただ、相良君の体調を考えると、今後どうするつもりなのか
早目に報告してもらわないと会社としても困る。

とりあえずこの話は私だけの胸にしまっておくから、早急にどうするつもりなのか、
報告してほしい。できたら、個人的にはいい報告を待ってるぞと言っておこうか」

その口元には含んだ微笑み。直の上司にこの状況を好意的に取ってもらえたのは
ラッキーなのかもしれない…

「はい、ありがとうございます」

彼は課長に再び頭を下げた。

私も彼と一緒になって頭は下げたものの、複雑な気持だった。
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