恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「でも、いつまでもひなを放ったらかすつもりはなかったから。きちんとしなきゃと思ってね。
今日親に入籍する話をしてくるから。再来月に年度が明けたら籍入れよ」

「急ぐのって、これがあるからだよね」

私は、お腹に手を添える。
彼が、その手の上に自分の手を乗せながら頭を横に振り、優しく微笑んで話し続ける。

「まったく関係ないって言ったらうそ。ちゃんと正式な父親になってこの子を迎えたいから…
でも、この子がひなを手に入れるチャンスをくれたんだと思ってる。
だから、このチャンスは絶対に逃さないよ。
この子も、娘たちも、ひなもみんな僕の家族になるんだ」

「…でもご両親は反対なんでしょ」

「いや、最初は確かにそうだった。でも今は仕方がないという気持ちにはなっている。
孫の話もしたからかな。あと一押しだと思うよ」

「ごめんなさい。私がご両親からあなたを取り上げてしまうみたいになって…」

「そんなことないよ。いい加減子離れしてもらわないと困るし。僕ももう30歳だよ?
親として尊敬しているし、きちんと面倒は見たいけど僕の人生はあの人たちのものじゃない。
僕は僕の選んだひなと子ども達と僕の人生を生きていく」

そう言い切る彼の姿はとても誇らしかった。

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