恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「欲しいんだろ?」

耳元で冷たく囁かれて、私は頭も体も何もかもが凍りつき機能停止しそうになる。

あの人は私のいいところは全て知り尽くしている…

躰だけなら…

あの人に逆らうことは不可能だ。遠のく意識を手繰り寄せて首を横にブンブンと振った。

「うそ?佐々木じゃお前を満足させるのは無理だろう…」

そのまま耳に歯を立て、強張る私の躰を、課長の手がそっと撫でる。

感情に反しビクっと反応する躰。後の事が容易に想像できてしまう私は躰が震え始めた。

その感情が快感なのか恐怖なのか…
もうわからなかった。

「いいねぇ。これだけなのに感じてる?やっぱガキじゃ足りないんじゃねぇ?」

うなじに押し付けられていた彼の唇が歪んだように感じた。

あの時も結局私はなすがままになり…
あの人は勘違いしている。嫌いではない。嫌いにはなれない。

でももうあなたを愛してもいない…
あなたとの時間は私に大きな傷と小さな自信を残して…
終わった。

いやだ…
もうこんなのは二度と嫌だ!!

私は心の声に力を得て課長を思いっきり蹴り、全力でもがきながらキッチンへ逃げ込む。

頭の中では、バクバクという心臓音が鳴り響き、感覚をかき乱す。
感情も手足ももつれて無我夢中の中で…
キッチンに飛び込んだ時、私の視線の端に光るものが横切った。
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