恋の賞味期限 愛の消費期限（Ｂｅｒｒｙ’ｓ版）【完】

びっくりして目を開けると、あの人はドサっという音を立てて床に放り投げられていた。

あの人の持っていたはずのナイフを持った黒い影は私に背中を向け
全身を小刻みに震わせ荒い息を吐きながらそこに立っていた。

わからないわけがない…
みずき君。私はそのままその姿を凝視しながら後ろに少しずつ動き、あの人との距離を取った。

そうしていると、みずき君の顔が見え、その表情に驚愕する。
見たこともない形相であの人に射抜くような瞳を向けその場に立ち尽くしていた。

あの人はみずき君と対峙しようと立ち上がったが、赤く光った目と殺気に
たじろいでるようだった。

しばらく二人のにらみ合いは続いていた…
彼はふと私に視線を移して、ゆっくりと目を見開き

「…ころす」

それだけ吐き捨てるようにぼそっと言うとナイフを持ったまま、
あの人にとびかかろうとした。

私は彼が何に激情したのか気が付き胸元を隠しながら、彼に向かって叫んだ。

「やめてぇ～」

「こんなやつこの世にいらない！！！」

彼は断固として言い、あの人との間合いを詰める。
彼はあの人に向かって渾身の力を込めてナイフを振り下す。

あの人は怯えながらなんとかそれを避けるのが精一杯のようだった。

「こんなやつでも…
この世にいらないやつでも…「こんなやつがそんなに大事なのか？」」

私の言葉に彼が即座に反応した。