恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
彼の抱擁が少し緩んだ。私の頬を両方の掌で包み込んで優しく自分の方に向かせた。

まだ小刻みに震えているお互いの振動が伝わってくる…

「ねえ、美奈ちゃんと優奈ちゃんは?」

「実家の母に預けてる…」

「じゃ、何か用事があったんだよね?子どもを預けないといけないような…

昨夜そんなことは何も言ってなかったよね?」

「…」

「どうして何も言わないの?僕そんなに頼りにならない?」

「…」

「どうして課長がこんなところにいるの?いったい課長とひなさんには何があったの?」

私はその言葉にどう答えていいのかわからなかった。あれがなんだったのか?

あの関係の何が彼に言えるようなことなのか?お金が動いた以上私は秘密を守る義務がある。

それは私自身の物だけではなく…

あの人の物もと言うこと…

「…もう、もう全て終わったことだから言いたくない」

私はそのまま彼から視線をそらしてゆっくりと瞳を閉じた。

彼の掌が両肩にかかり、私を揺さぶった。

「何それ?どういうこと!!」

私はどんなに揺さぶられても、それ以上は何も言わなかった。

「なんで!!どうしてなの??やっぱりこんな年下のひよっこ、嫌なんだよね!!」

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