恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
シャワーを浴び終え部屋に戻ってくると、ソファーに座っている彼が

私に向かって一枚の白い紙を私に差し出した。

「なに?」

人差し指と中指でそれを挟み取り目の高さに持ってきて開く。

ああ…

なるほどね。

「とうとう…」

「ああ。もう5年になるからな」

「私達も2年…。そろそろ潮時なんでしょうね。

恋愛感情って2年が賞味期限っていうし…」

心にわいた感情を知られたくなくて、平静を装って彼に紙を突き返す。


「お前にそんな感情あったのか?」

「躰にだって感情はあるからね」

私はドレッサーの前に立ち、彼を鏡越しに見つめた。

巻いていたタオルをほどくと黒い髪がこぼれる。

その髪をかきあげながら彼に意地悪くほくそ笑む。

「そうだよな。俺たちの繋がりは躰…」


そう言いながら彼が近づいてくるのが鏡越しに見える。

「お互いに足りない欠片(ピース)を埋めあっていただけ」

彼はまだ濡れた私の肌を慈しむように後ろから抱きしめて

「俺たちは所詮…」

と、私の躰により密着する。それから耳元で囁かれた言葉に

「ちょっとぉ。それじゃ、あんまりにも…」

とおどけたように答える。

「それなら繰り返すとバカになるが、それがお楽しみ…

でもやっぱり限度を超えるとなんでもバカになるか」

彼の卑猥な冗談に、私はただ、苦笑いするしかなかった。
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