恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
これで終わり。こういう関係になった最初から、

異動する時が終わりとの約束だった。

途中であんな契約をさせられた時も、「異動するまで…」と強引に迫られた。

彼がなぜそれにこだわったのかは、今では知る由もないが…


そんなに私との関係に執着したあの人がこんな時茶化すなんて…

彼のせめてもの気遣いなんだろうと思う。


この重い関係を彼が望み…

強引に押され…

結局私も同意した。

その代償は大きかったが、それを支払うだけの価値があった。

私は再び女として生きることができるようになったから…

それだけもらえたら充分。それ以上望むことは…

もうしない。

私はそう割り切って約束通りに、全てを終わりにする。

本当は、その事実がさみしい。


私はドレッサーの前にある椅子に座り、ドライヤーで髪を乾かし始める。

彼は私の座る椅子にそばに腰かけた。

目を細めた視線に物憂げな気持ちを感じつつ視線をそらす。

彼は何かに手を伸ばし…指にそれを挟んで火をつけようとする。


「ごめん。悪いんだけど、清浄機のところで吸って…」

「ああごめん。つい…」

彼は切なそうな瞳を向けながら灰皿を持って私から離れた。
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