恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
[こんな事、本来はメールで話すことではありません。
本当は会った時に言いたかった。

せめてこの後の話は、直接会ってしたいです。
早い機会にお時間を取っていただけますか?]


私はうるさい鼓動を耳に、小走りに子ども部屋に向かった。
そっとドアを開けると、いつものように規則正しい寝息が
聞こえていた。

静かにドアを閉め自分の部屋に戻ってくる。

このまま、このまま時間を開けることなんて…できない。
この鼓動の原因をはっきりさせたい。


[長い時間は無理だけど…今から会います。]

[娘さん達は大丈夫なんですか?]

[寝てる。一度寝るとほとんど起きることはないから大丈夫だと思う。]

[でも…そちらの家に今から行きましょうか?]


それは違うと思った。

ここにいるのは、娘のいる空間では私はあくまでも母親。

でもこれからカレと向き合うのは母としての私ではないはず。

[いえ。家はちょっと…近くの国道沿いのコンビニに、
10分後はどうですか?]



しばらく返信がなかった。
さっきまでのやり取りを考えると、数分の事だったこの時間が
果てしなく長かった。

私は子供を置き去りにして外で会おうという無責任な女と
取られただろうか?
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