恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
車に乗ってドアを閉めたその時、お互いに視線が一瞬絡んだが、
その視線がそれてから、しばらくの間車の中は沈黙。
静かなBGMだけが耳につく。

「どういうこと?」


時間のない私は、全てをはっきりさせようと思い、口火を切った。

それでも答えは返ってこない。

運転席に視線を向けると、彼はとても緊張しているようで、
私の視線に顔をそむけ深く息を吸って吐き出す。

そして私の方を向いて毅然とした態度で話し始めた。


「まず…僕は娘さん達の事は好きですよ。
でもそれは…あくまで子どもとしてです。もちろん。

お嬢さん達と直接どうのこうのという気持ちは全くありません。
その点に関しては変な下心もありません。

そこは誤解してほしくありません。僕は普通のただの男です」


「じゃ、なんで、毎週うちに来たの?」


「それは、相良さんに興味があったからなんです。

転勤してきてから、あなたの職場での仕事をする姿勢や、
考え方に共感できる部分は多かった。

相良さんに少しでも近づきたかった。
でもどうすればいいのかわからなくて…

だからまずは、会社という空間から離れたくて飲みに誘いました

たまたま娘さん達を連れて行きたいというので、
あなたが来てくれるならと思いましたし、
お嬢さんたちの誘いでたまたま家にも行くようにもなった」



「なんで?私はバツイチの子持ちだよ?
めんどくさいだけで、何もいいことなんてないよ」

今でさえややこしいことが多い。

私は、これ以上色々なことがややこしくなってほしくなかった。

「恋愛ってなにか得することがあるからするんですか?

僕はあなたに娘さんがいるから飲みに誘ったわけではないのは
知っているでしょ?

彼女たちがいることと、あなた個人の魅力とはなんの関係も
ありません。」

「子どもは子ども。彼女たちがいることと、
あなた個人の魅力とはなんの関係もありません」
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