恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

言葉で伝えて

「来てほしいんですか?」










彼の香りを身にまとって私の意識が少し遠のく。

初めて抱きしめられた10代の小娘みたいに心臓がドキドキと
うるさく鼓動を打つ。

この頃こういう接触がないせいだろう…
と自分の気持ちをごまかした。


「来てほしいと、ひなさんは思っているんですか?」


彼は優しく抱きしめたまま、返事をしない私に頭の上からもう一度問いかけた。

何も言うことのできない私は、ただうなずく。

その途端、顔に血が上がってきて熱を帯びる。

なんだかおかしい。私らしくない。


「ここは子どもさんもいるし。
そういうのはどうかと思うのですが…」

彼の言葉は少し困っているように感じられた。


迷惑だったのだろうか…
そう不安になってきたとき…

「でもその前に、ひなさんは僕に対して何も答えていない。
僕の事、どう思っているんですか?

返事を、言葉できちんと聞かせてください」

…まさかそう来るとは思わなかった。
私はしばらく黙ったまま彼に抱きしめられ
呆然とたたずんでいた。
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