恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「言えない?」







気まずい空気になるかと思ったのに彼は私の顔をのぞきこんで
優しく微笑んだ。


私は、その笑顔が眩しくて自分の醜さが身に染みて…
余計何も言えなくなり、ただうなずいた。

そんな私を彼は、もう一度強く抱きしめてくれた。

その暖かさが心を満たす。それなのにずるくて醜い私。


「ひなさん。ちゃんと言おうよ。
今までは言わなくてもよかったかもしれないけど、
僕はそういうやつじゃない。

僕とどうにかなるつもりなら覚えておいて。
僕は鈍感な男だ。

言葉で伝えてくれないと、言ってくれないとひなさんの気持ちはわからない。
ひなさんの思いは伝わらない。
ただ何となくとか、とりあえずとか、ごまかしてどうにかなろうとする。
どうにかしようとする。そういうのは、僕は嫌だ」


そう言って彼は突然抱擁を解いた。

温もりが離れた。寂しい。優しく微笑んでいたのに、どうして彼は離れるのだろう?

「言えないなら、僕もこれ以上は何も言わないし、しない」


そして、彼は…床に置いた荷物に手を伸ばした。
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