恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「どうして泣いてるんですか?」

彼は戸惑いがちに私の目元に指を伸ばしてきて、零れた涙をぬぐう。

その指先に視線を奪われていると彼はその涙を反対の掌で包み込む。

切なげな瞳でこちらを見つめる彼に、私はどう答えていいのかわからなかった。

私の溢れるものは留まることを知らない。

この空気に呑まれてしまっているのだろうか?

何を言えばいいんだろうか?

どうすればいいんだろうか?

「…」


「僕のせいですよね。僕が鈍感だから…
僕がいつも無理強いをするから…」


彼はこぶしをぎゅっと握りしめそれでも何も言えない私の顔から
視線をそらす。

また二人の間に沈黙が流れる。そして私の涙は流れつづけた。













「そばに居ると思っていたのに。

守りたいと思っていたのに…結局いつも泣かせている。
僕が欲しいのはひなさんの身体だけじゃない。

心も…心がこんなにも欲しい」




彼が絞り出すように言った言葉に私は胸が締め付けられた。
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