恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「うん。だって、みっちゃん毎週遊びに来てくれるし、

優しいし、かっこいいからぱぱになってくれたら

いいなぁと思って」


子どもの言葉はストレートに突き刺さる。彼はしばらく何も言わなかった。

「みなちゃんは…僕がぱぱになってもいいの?」



「みっちゃんぱぱになってぇ―――」

美奈がそう言って彼に抱きついたようだった。
優奈はお姉さんぶって

「ゆながみっちゃんのお嫁さんになりたいけど、仕方がないから
ままに譲ってあげる」

そう言って優奈も彼に抱きつく。


私は、それ以上何が出てくるかどぎまぎしながら、知らないふりをして料理に集中しようとした。

「じゃ、みながまま。私がみっちゃん」

「ゆなちゃんずるい―――。みながみっちゃんしたい」

二人はしばらくそうやってどっちがみっちゃんをするか
もめていた。

子どもは何気なく、色々なことを感じている。

この子達が、男の人に心を開いたのは彼が初めて…

彼女たちなりに父親のいないことに違和感があり、寂しいと思っていたのだろうか?

最初の頃からの、私と彼の関係の変化を感じ取っているのだろうか?

もう一歩踏み込みたい。

包丁を握りながら、私はそう心に決めていた。
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