恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「ひなさん。もしかして疑われてますか僕?」

彼との距離が近づくと、さっきまで顔に上がっていた熱が
今度は胸に集まってくる。以前と比べると
ずいぶん距離も近くなったし、親密な接触もあるのに、
どうしてこんなにドギマギするのだろう?

「何を?」

私は自分のよくわからない現象から目をそらそうと
会話に集中する。

「そっちだめかもとかって?」

彼の口角が少し上がっているような気がする。


「そうね…みずきって、女みたいな名前だし、
行動を見てると時々どっちか好みなのか疑いたくなる」

「名前は親からもらったもので、僕が選べるわけじゃないので
仕方がないです」

口角がもう少し上がり、こちらを射抜くような目で見つめられた。

「男だって証明してほしいんですか?」










彼にしては珍しく少しいじわるい切り返し。


「どういうふうに証明してくれるの?」










私もこの際だから応戦してみた。

「どういうのがお望みでしょうか?」









彼も負けてはいない。

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