恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
でも私は、どうやったら彼の壁は崩れるんだろう…

どうやったら、そんな彼の考え方を変えて

行動させることができるんだろう?



















抱きしめられた胸の中で、私の頭の中はそればかりが回っていた。

その日の夜。夜中が過ぎて彼がTVを消す。

「ひなさん、そろそろ寝ますか?」

彼に導かれて、自分の部屋に入る。そこにはセミダブルのベッド。
このベッドで彼ともう何度眠ったのだろうか?


部屋が暗いまま彼は静かにそのベッドに滑り込む。
私もその後から彼の隣に…いつもお互いに背中を向けて眠る。
その距離は遠くはなかったが、とても親密ではない。
背中に彼の熱を感じて、いつもドキドキしている私は…
本当にバカだ。


後ろでごそごそする気配がすると、
いつものように彼の腕が背中からまわってお腹の前にくる。

自分と同じボディーソープを使っているはずなのに微妙に違う。
その香りが私の心を照らし、躰に火を灯す。

私のうなじに彼が鼻を擦り付けている。その息使いがくすぐったくて、身をよじる。

そうしていると今度は彼の掌がそっと私の腕を撫ではじめた。

優しくなだめるような愛撫。それと同時に鼻を擦りつけていたうなじにゆっくりと唇を寄せる。髪の生え際から、その湿った唇は徐々に下へ、右へ左へ…静かに滑る。


左右の掌が違う所を彷徨い、吐息と唇を背後に感じる。
それは彼のようだった。静かに、穏やかな感覚。

「ひなさん…」

彼はそう囁く。私の胸が締め付けられるような痛みを感じた。



わたしはいつまでもいつまでもただ焦らされるだけ。
それに業を煮やし、もう一歩踏み込んでみた。
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