恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「そんなことはない!!確かに、娘さんたちは好きだけど…
でも僕は何度も、何度も繰り返し言っただろう?
僕が欲しいのはひなさん。君なんだ!!!」










彼の目が鋭くなった。



「じゃ、今すぐこのまま抱いて。私がそうして欲しいの!!
これ以上女に懇願させる気?」



彼は、体勢を変えると私を一気に組み敷いた。

跨れて、身動きできなくなった私は、
上から見下ろされる視線に…
その表情に凍りついた。

コワイ。彼を初めて怖いと思った。
そして、やっぱりこの人は男なんだと…知らされた。

両手を私の両手の指に無理やり乱暴に絡め取る。

…でもその手は震えていた。

「ひな」

私はその瞳で彼に名前を呼ばれただけで、
身体の奥がカッと熱くなった。


「僕はそこまでストイックでも、鈍感でもない。
君が魅力的じゃないって?」


彼が顔を私の胸にうずめて、頬を摺り寄せてくる。


「気が狂いそう…
ひな、すごくきれい。
何度も何度も想像してたけど…
やっぱり本物には敵わない」

彼はそのまましばらく夢中で私の胸にすり寄っていたが、
何を思ったのか突然顔をあげ、私から降りると泣き出しそうな、
寂しそうな顔をした。
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