恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
初めての彼の、本来ならお粗末なその行為に

私は胸がぎゅっと締め付けられあふれる涙が止まらなくなった。

なんで泣いているんだろう。

それまでの男とも、別れた旦那とも、あの人とも、こんなことなかった。

他の人と違って、あの人との相性はおそらくよかった。

でもそんなんじゃない。何かが違う。

心の奥深くを揺さぶるような…

何がが触れ合うような…



私には何が起きたのかわからなかった。




突然嗚咽を漏らして泣きじゃくっている私を見た彼が、おろおろし始めた。

「大丈夫?僕まずかった?どこか痛い?」

私の頬を両手で包み込み、瞳をのぞきこんで焦っている。

ちがうの。そうじゃないのと困惑しながらも感極まって
言葉の出なかった私はただ首を横に振った。

「ごめんね。ひな、ごめんね…」

彼は私を優しく抱きしめて、背中をさすりながら…
ただ謝り続けた。





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