Vampire Kiss*



ほんの一瞬だった。

理解した時は、既に首を絞められていた。


酸欠になり、意識が遠のくまでの間は思ってた以上に長くて…

ああ、わたし死ぬんだ。

抵抗することもなく、諦めていた。


そんな中で気付いた違和感。

違う。

酸欠じゃない。


貧血に近い、ふらふらする感覚。

そして、首元にある奇妙な気配。

何かが喉に飲み込む音が聞こえた。


一体、何が…


意識が朦朧とする中で抵抗しようとした時、わたしを押さえていた“何か”が消えるのを感じた。

押さえのなくなったわたしは、全身の力が抜け、そのまま体が地面に倒れる音が聞こえた。


うっすらとしか見えない視界に映るのは、二つの黒い靴。

ゆっくり、その靴が近付いてくる。



上から何かが聞こえた。

はっきり聞き取れないけれど、なぜか安心していた。

と言うより、身体中から力が抜けていきあ、意識が遠のきかけていた。


何かが髪に触れた。

冷たい、何か。


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