Vampire Kiss*
目を覚ました。
長い間寝ていたような、身体が重くきしむ。
…ここはどこ。
重い体を起こし、辺りを見渡すと見覚えのない部屋のベッドに寝ていた。
そんなわたしに気付いたかのように、部屋のドアが開いた。
「まだ寝ていた方がいい」
現れたのは、高校生のわたしよりも少し年上そうな男性。
思わず見惚れるような容姿。
「ここは…」
「君にとって安全な場所だよ。
あの時みたいに襲われることはない」
「ー…っ」
“あの時”の、記憶がフラッシュバックした。
今思い出すと、あまりの恐怖に身体が小さく震えた。
もしかしたら死んでいたのかもしれない。
きっと、目の前にいるこの人が助けてくれたんだ。
目が合うと、微笑まれた。
あまりの綺麗さに、思わず胸が高鳴る。
「一つ、確認したいんだ」
そう言うと、彼はわたしのいるベッドに近付いて来て…
“ごめんね”と、小さく呟いたように聞こえた。