Vampire Kiss*
「ああ、やっぱり」
優しくわたしの髪をよけ、首に冷たい指が当たる。
「残り半日ってところか…」
なんだか悲しそうな表情を浮かべてわたしを見る。
「どうしたい?」
「えっと…?」
「混乱するのも無理はないけど、今から話すことは全て事実だと信じて欲しい」
「はい…」
「君を襲ったのは人間ではない、バンパイアなんだ。
この世界には二種類のバンパイアがいてね。
君を襲ったのは、手加減なしに血を吸うような動物や人間に危害を与えるバンパイア」
バンパイア…?
それって、あの、吸血鬼ってやつ?
「僕たちみたいなバンパイアは、むやみに人間に危害を与えることは禁じられている。
バンパイアが吸血するのは血だけが狙いじゃない、その人の生命力も一緒に奪うんだ」
それって、あの時意識が遠めいたことと関係してる…?
「君は大分奪われている。
血は補えるが、生命力は数時間で補うことは不可能だ。
今の状態では、もって半日ってところだと思う」
「そ、そんな」
「選択は二つ。
このまま死ぬか、僕と契約して生きるか」
「契約?」
「バンパイアに自らの血を捧げる者、人間に自らの力を捧げる者。
二つは契約によって結ばれる。
この契約をすれば、君の命は僕が守るよ」
契約…
わたしが、バンパイアに自らの血を捧げる者になることで…
この人が、わたしに自らの力を捧げる者になるってこと?