Tartarian aster
No.1
晴天が広がり、

日の光が照りつけ、

額に汗が伝う。

暑さを凌ぐために
木の下に出来た日蔭で体を休ませる。

いつも一緒にいる幼馴染みの香織はその日は珍しくいなかった。

そのため俺は一人だった。

別に寂しくはない。

物心着いたときから親は共働きで、
俺は周りの子供の中で浮いた存在だったからなのか友達はいなかった。

だから、俺の傍にいたのは家族同然に育った香織だけ。

だいぶ体の熱が冷め少し眠ろうとしてたとき、

"ねぇ、だいじょうぶ…?"

その声に閉じてた瞼をゆっくり開いた。

そこにいたのは白いワンピースを着た女の子。

何故か泣きそうな顔をしていた。

"よかったぁ…"

どうやら暑さに倒れたのかと思ったらしい。

女の子は安心したようにふわり笑った。

それはまるで

花が咲いたような笑顔だった。





これが、
君と出会った7才の夏の日のこと。









< 2 / 8 >

この作品をシェア

pagetop