Tartarian aster
No.3
私は10年前交通事故にあった。

両親と引っ越し先に着いた直後のことで…

新しい我が家に行こうとタクシーを拾い向かってる途中、対向車の大型トラックが突っ込んできたの。

咄嗟に私を庇った両親、運転手さんは亡くなってしまった。

事故の原因はトラックの運転手さんの居眠り運転。

そして、私は奇跡的に意識を取り戻し命に別状はなかったものの…"大事な記憶"を失った。

事故の時、その前の思い出や人が分からなくなった。

とは言っても一部だけ記憶がないの。

担当のお医者さんが言うには
目の前で両親を亡くしたショックで両親と同様、それ以上に"忘れられない思い出や人"を思い出せなくなってしまったと…

私は事故のことは全くと言ってもいいほど覚えていない。

両親のことも、どんな顔でどんな人だったのかさえ…わからなかった。

そんな私は親戚達から"可哀想な子"って呼ばれてた。

両親が亡くなったのにも関わらず一切泣かなかったから…

ホントは泣きたかった。

でも、わからなかったから泣けなかった。

事故から10年経って私は17になった。

父の弟夫婦に引き取られ何の不自由もなく育てられた。

叔父さん達…って言ったら怒られるから兄さん姉さんって呼んでるけど、

二人には子供がいなかったせいかこっちが遠慮してしまうほど良くしてくれた。

けど私は自分でもこのままじゃいけないと思って生まれたこの町に戻ってきた。

10年の間に町はすごく発展していて迷子になってしまうこともたまにあった。

兄さん達は仕事の関係で一緒にはこれなかったから私は一人暮らしをすることになった。

とは言っても日頃から姉さんの手伝いや家事を任されてたからこれといって困らなかった。

私は失ってしまった記憶を探すために戻ってきたけどこの町にいた頃のことは覚えていたし、小さい時よく遊んでいた香織ちゃんのことも覚えていたから両親の記憶だけわからなくなってしまったんじゃないかと思った。



そう、香織ちゃんのあの言葉を聞くまでは…









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