「わかってるってば」
☆~ゆうき side~☆


逃げたオーナーからの連絡。

「おまえ、またきてくれよ・・・頼むよ・・・」

僕は戸惑っていた。

そこは、東京ではなく

なにわの街。大阪だった。オーナーは夜逃げしたっていうのに

また店をオープンさせる気なのだ。「なんて人だ。あんたは。」

失望からか目上のオーナーにそんな罵声を浴びさせてしまった。

僕が凛を置いて大阪に行くってこと?

「なんでだよ。・・・ったく・・・」

モヤモヤなのかイライラなのかしばらくぶりに煙草をふかす。


「僕がいなくて、凛は大丈夫なのか・・・?」今更そんな確認すんのかよ。

「ダメだよな・・・」何度問いかけてもその答えだった。

楽しそうにハワイのパンフを見ている凛がよりいっそう愛おしく

僕は決心ができなかった。

でも、いつかは連れて行きたい・・・

幸いダメなオーナーとはビジネスにおいては阿吽の呼吸でしっくりくる。

バイトの時からこんな僕のことをとても可愛がってくれてて

編集の仕事よりバーテンのほうが合ってるとも打診され。

でもいつまでもフラフラしてる場合じゃないし。、しっかり働かないとってプレッシャーもあって

「どうすっかな・・・俺・・・」

自身の将来の決断と

凛の賞の発表は

刻一刻と迫っていった。

「凛・・・俺・・・」

自分の将来に自信がないのか

僕は凛を直視できない日々が続いていた。

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