不良の菅原くんについて。
「…………わ、」
びゅうう、と風が強く吹き、私の長くはない髪を吹き上げていく。
「屋上、初めて来たかも」
「そうなのか?」
髪を押さえる私を見て、菅原くんは少し先で振り返った。
菅原くんはパックを手に持つと、その場にゴロンと寝転がる。
「ブレザー、汚れるよ」
「汚れねぇよ」
菅原くんは仰向けで空を見つめると、そのまま顎を上げて私を仰ぎ見た。
「勿体ねぇな、1年もこの空見ずに過ごしたんだから」
ふんわりと顔に浮かんだ笑みに、私は驚き凝視した。
…………あれ。この人。
「まぁ、まだ一年以上あるんだし、これからいっぱい見てけばいいよな」
…………意外とよく笑うんだ。
「…………菅原くん、結構笑ったりするんだね」
ふふ、と私は微笑んで、
コンビニ袋から出したメロンパンをかじる彼の隣にしゃがみこむと、
彼は私の顔をまじまじと見つめてきた。