不良の菅原くんについて。

でもぼんやりしていたわりに、大きな瞳だけは強い光を宿していて、
そんなところがカッコいいと女子の中で言われていた。



そして、ある時。

そんなモテモテな菅原くんを妬んだクラスの男子が、菅原くんにケンカを売った。


「スガワラってさぁ、いっつも一人でボーッとしてるよな。
友達いねぇんじゃねえの」


クラスのガキ大将的な男子は、周りに友達をはべらしたまま、
わざと聞こえるような大きな声で、菅原くんを罵った。


「やだー、やめなよぉ。スガワラくんかわいそう」


男子の言葉にクスクス笑う女子。

それに調子を良くしたのか、下品に笑い出した男子。

名前は覚えていないから、とりあえずジャイアンにしておこう。


「…………」


確か菅原くんは、視線を窓から動かして、いつもと変わらず無表情でジャイアンを見ていた。


「かわいそうだな。オレが友達になってやろうか?」



今思えば、子供じみた嫌がらせだったんだよね。

子供じみたっていうか子供だったんだけど。


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